発売から15年近く経過しているThinkPad X61を,現状最高スペックまで改造したので,改造内容・部品調達先を紹介しようと思います。フル改造すれば,まだあと1~2年はメインノートとして使えると思います。
魔改造済みX61のスペック紹介
モデル名 | ThinkPad 15th Anniversary Edition |
CPU | Core2Duo T9300 2.5GHz |
メモリ | DDR2 8GB |
ストレージ | SSD:480GB(SATA2開放) |
ネットワーク | Wi-Fi6(AX200) 4G/LTE(MC7700) |
Bluetooth | Bluetooth4.0 |
液晶 | SXGA+ 1400×1050 IPS液晶 |
充電形式 | USB-typeC PD充電(65W) |
キーボード | US英字キーボード(Chicony) |
その他 | Windows Hello指紋認証, モデム取り外し |
元々15th Anniversary(X61s)モデルだった筐体をベースとして、X61最高性能のCore2Duo T9300搭載システムボードに入れ替えています。元々はオリジナル状態で使用していましたが,低電圧版Core2Duoは流石にそろそろ限界を感じたので・・・。
改造のポイント
重要度(効果的な改造)順に解説していきます。
(MOD BIOS必須)と書かれている項は,MOD BIOSでないと正常に動作しませんので,適用してください。適用するとSATA2も開放されるのでぜひ挑戦してみてください。
メモリ増設・SSD化に関しては,一般的すぎるのでここでは省略します。メモリはヤフオクで入手可能(Aliexpressでも売っています),ストレージは2TBまでの認識ができることは確認済みです。参考までに。
システムボード
自分はメインX61のほかにCore2Duo T7100, T7300, L7500のX61(X61s)を所持していますが,いずれもWindows10では非力です。ここでは,詳しいスペックシートを見ずにそれぞれにWin10を入れた体感速度で語っていますが,特にX61sのL7500の非力さは,はっきりわかるレベルで違います。ですので,システムボードはT8300以上のものを用意するべきかと思います。
メルカリ,ヤフオク等で入手可能です。しかし,ヤフオクのX61シスボは毎回それなりに価格がつり上がっているので,メルカリで検索条件をかけて毎日張り付いてチェックするのが良いと思います。
液晶パネル(MOD BIOS必須)
初期の液晶パネルは1024×768のTN液晶です。いわゆるXGA解像度ですね。Windows10ではUIがやたら大きいせいで狭く感じがちです。おもちゃではなく,真剣にメインノートとして使うのであれば,この改造は必須です。発色・作業スペース共に現代のPCに劣らない環境を構築することができます。
合わせて,LED化も必須です。デフォルトでは,ほっそい蛍光灯みたいな管が液晶に組み込まれているのですが,これをLEDに入れ替えます。これをやらないと,暗くてじめじめしたオタク部屋ならまだしも,カフェや学校などの明るい環境では暗すぎて全く使い物になりません。
そして,個人的にX61改造の中で一番難易度が高いのは液晶パネルです。元々X61 Tabletという別機種用のパネルだったものをペンチでカットしたり削ったりして組み込むので,かなり失敗しやすいです。LED化は液晶パネルを分解(!)するので,ゴミが入ったり,組み直しができなくなったりするリスクもあります。(自分も唯一LED化だけは1度失敗しました。)
パーツの入手ですが,現状Aliexpress一択です。2021年現在,液晶パネル・変換ケーブル・LEDバックライト合わせて13000円くらいで揃えられます。ヤフオクでもたまに入手可能ですが,倍くらいの値段がかかります。Aliexpressはカード決済対応,日本語OK(意味が通る程度の英語も話せれば◎),注文して2週間位で届くので,海外通販の中ではかなりハードルが低いです。
USB PD充電対応(type-C 65W)

X61をモバイルする場合,あの野暮ったいACアダプターを持ち運ぶ行為はモダンなX61生活には不要です。SurfaceやMacと同じ,USB-PD充電に対応させるのが良いです。これだけで電源周りは一気に2018年モデルのX280(X270でもPDが使えるらしいですが,完全移行はX280から)と肩を並べることができます。
台湾のMikePDiy氏が,X61をPD対応させるキットを販売してくれています(リンク)。送料込み,3000円程度で入手可能なので,持ち運ぶ予定があるなら購入しましょう。小型充電器と組み合わせることで,外での使用がかなり便利になりました。
改造自体も,内部のコネクタを差し替えるだけなので,慣れていれば15分程度で組み込むことができると思います。
しかし,この改造にはデメリットもあります。バッテリーが15%を切った状態だと,電圧不足が発生してCPUの性能が半分に制限されます。15%を切ることはめったにないので,今の所あまり困ることはありません。
ネットワーク周りの整備(MOD BIOS必須)
改造BIOSを適用することで,最新の(しかもちょっと良さげな)PCに搭載されている,Intel AX200を搭載することができます。これをつければ,X61もみんなの憧れ 最新ゴージャスモバイルノートであるThinkPad X1 Nanoと同じネットワーク環境(※X1 Nanoに搭載のAX201は仕様が違なるだけでAX200と同性能です)にアップグレードできます。カードの規格がmini-PCIeからM.2になっているので,変換カードも購入してください。アンテナの端子も新規格になっているので,新たに取り付ける必要があります。液晶に埋め込まなくても,システムボードとキーボードの隙間にいい感じに設置すれば十分電波を拾うことができます。
また,セカンドmini-PCIeスロットがあるX61(後期型に多い)では,LTEも搭載できます。MC7700というカードが対応しています。こちらも改造BIOS必須です。しかし,Windows10では接続済みでも未接続のアイコンのままになる不具合があります。元々ついているWi-Fiアンテナを流用するので,この改造をする場合は合わせて上記のAX200化もしたほうが良いです。
ちなみに,LTE化をしない場合は,AX200等のBluetooth対応カードをセカンドスロット(右側)にさすことで,Bluetooth5.0も使えるようになります。この場合は,元々の古いBluetoothをデバイスマネージャーで無効化してください。干渉してエラーが出るので。
あと,2025年とか2030年とか,さらに未来の読者に伝えておきますが,X61のminiPCIeが実装しているラインは,左がPCIeのみ,右がPCIeとUSBです。
AX200を積んで,MC7700も積んで,おまけにBluetoothもアップグレードしたいという欲張りな方は,X230向けのBluetooth4.0ドーターカードを購入するといいです。ヤフオクで1000円以内で買えます。新しめのヘッドホンやマウス(使う人がいるのかはわかりませんが!!!!)もこれで使えるようになります。
自分が実際に購入したパーツを,下記に貼っておきます。※アドブロックが有効だと表示されないと思います。(ここから買うとブログ主が儲かるのでぜひご購入ください。)
AX200
MC7700
キーボードの交換
ここまでの最新スペック化の流れとは違いますが,キーボード交換という改造もあります。ご存じの方も多いとは思いますが,X61のキーボードは前期型(NMB ミネベア製)と後期型(Chicony製)でメーカーが変わります。信者的なファンの多いNMBの前期型のほうがしっかりした作りで人気です。下記のブログがわかりやすい解説をされています。
https://www.engineer-memo.net/20080901-1114
IBMシールのX61はだいたいNMB製です。X60なんかは100%NMBなので,探す場合はX60のジャンクが狙い目だと思います。
おわりに
X61は今でもパーツが豊富にあり,なかなか楽しいパソコンです。しかし,外装パーツはもう完全に枯渇しています。代えがないので,丁寧に使わないといけません。
今回紹介した改造をすべて施すことで,Chromebook的な用途だったら全く問題なく使えます。YouTubeも720pで快適に視聴可能です。VisualStudioでのコーディングだって,大きなプロジェクトでなければ可能です。
あと何年持つかはわかりませんが,他のパソコンとも組み合わせて少しでも長く使えると良いですね。